このブログは僕(ジュン)とエリカ、カノくんの3人のストーリー。あらゆるシェアリングを活用して、セレブライフを探求している。
今回は、エリカの「日本橋に出かけたい」というリクエストに応えるため、【Noleggio】でいつものようにスーパーカーをシェアして迎えに向かった。
以前に「下町風情を感じられる料理が食べたい」とエリカが話していたことを思い出し、人形町にあるやや渋めの老舗の料理店も予約しておいた。
天候は小雨でやや肌寒いから、名物の鍋はちょうどいいだろう。
「天気が悪い中、ごめんなさい。どうしても今日、出かけたくて」
エリカのマンションの前に到着したときには雨は止んでいたが、またいつ降り出してもおかしくはない感じだ。
「今日はBMW i8なんだ。私このドアと、ライト好きなんだよねー!」
BMW i8はプラグインハイブリットの次世代スーパーカーとして発売されており、特徴は195cmの高さまで開くポップアップドア(バタフライドア)。これだと狭い駐車スペースでも乗り降りは楽にできる。
市街地では燃費良く走ることができるし、eDRIVEを解除し、シフトレバーをスポーツモードに切り替えると1.5Lの3気筒エンジンとは思えぬ力強い加速を体感することができるお気に入りの一台だ。ちなみにスタートから4.4秒で時速100kmまで加速可能。
まあ、今日は悪天候ということもあるし安全運転第一にしよう。
「何をしに日本橋に行きたいんだい?」
僕が助手席に乗ったエリカにそう話しかけると、エリカは照れくさそうにしながら、
「ほら、水天宮って、安産祈願で有名でしょ。それで」
「え!?」
思わず絶句する僕を、意地悪そうな目で見つめながら、
「私じゃないわよ。親友の安産の願掛け。安心した?」
僕は何も答えず、ため息をひとつ吐いてBMW i8を発信させた。
水天宮でのデートとは予想外だが、友だち思いのエリカらしいし、これはこれでいつもと雰囲気が違っていいかもしれない。
実際に行ってみると水天宮の境内で参拝しながら、ゆっくりとした時間を過ごすことができた。しかし、1階が40台の広さを持つ駐車場になっており、2階の待合室はまるで飛行場のロビー、水天宮自体も免震構造が施されており、完全に近代化されているのには驚かされた。
「さて、お腹も空いてきた頃だし、人形町で【ねぎま鍋】でもどうだい?下町風情を感じられるお店を予約しているんだ」
「ぜひ行ってみたい!なんてお店なの?」
「昭和2年創業の【よし梅】さん。石畳の細いエントランスになっているんで、なかなか見つけにくい場所にあるんだよ。知る人ぞ知る名店だね」
「ねぎま鍋ってどんな料理なの?」
「それは見てのお楽しみさ」
「これは確かに気づきにくいところにあるわね・・・」
外観は夜の闇に溶け込んでいるが、店内はもちろん明るく、楽しく食事ができるようになっている。
「この飾ってあるのって何かしら?九丁目とか岩田とか、書かれている名称に規則性は感じないけど・・・でも、数字が多いわね」
「その上のマークで何かに気づくんじゃないか?」
「時代劇のドラマで観たことがある。何だったかしら?」
「江戸町火消しの方々の寄せ板だよ。これだけでも歴史と下町風情を感じられるだろ」
「料理も美味しそう!色合いといい和を感じる。素敵ね!」
季節の八寸の他にも、揚物、刺身と盛りだくさんだ。あいにく僕は運転があるからアルコールは飲めないが、幸せそうに料理を堪能しているエリカの笑顔を見られれば充分に高揚感を味わえる。
「でも、ジュンさん、鍋って言ってたわよね。もしかしてこの後で鍋も食べられるの?」
「そういうこと。さあ、メインディッシュの到着だ。これが江戸名物のねぎま鍋さ」
「ネギに白菜、春菊にしいたけとえのき、野菜がすごいボリューム。豆腐もある。でもこの赤身は何かしら?お肉にしては何か違うような気がするけど」
「下町の人たちが好んで食べていたマグロのトロだよ。野菜を入れて煮え立ったところに、このマグロをさっと沸いた出汁に通して食べるのさ」
「ねぎまのまってマグロのまのことだったのね」
「諸説あるみたいだけど、ネギを食べる間を取るのにマグロで繋いでいたとも言われているよ。当時はネギがメインだったってことだろうな」
「わあー、美味しい!!出汁が絶品ね!!こういう食べ方もあるんだ。ヘルシーだし、最高ね!!」
「懐石料理ならではのヘルシーさは、僕も好きなんだ」
「この出汁で雑炊が食べられたらなー、って欲張りかな?」
「大丈夫。しっかり締めに雑炊が食べられるようになっているから。ちなみにデザートもあるぞ」
「完全にフルコースね。お腹いっぱい!!大満足よ。さすがジュンさん、美味しいお店をよく知っているわね。私、早速CAの友だちに教える!!」
そう言ってエリカはスマホで写したねぎま鍋をFacebookにアップしている。よほど気に入ったのだろう。
そろそろ帰宅する時間だ。
BMW i8から観る東京の夜景を楽しみながら帰るとしよう。