このブログは僕(ジュン)とエリカ、カノくんの3人のストーリー。あらゆるシェアリングを活用して、セレブライフを探求している。
第三波のコロナ禍によって緊急事態宣言が発出されてから、エリカとデートらしいデートは一度もできていない。3月末になってようやく緊急事態宣言も解除され、今日は久しぶりにエリカに会える。
目的地は東京都心から1.5時間ほどにある神奈川県東部の三浦半島三崎港だ。「美味しいまぐろを食べたい」というエリカのリクエストに応えるためにここに決めた。
「Noleggio」で高級車をシェアするのも、昨年に茨城県大洗でアンコウを食べに行って以来になる。今回は八王子のデートに利用した「フェラーリF430スパイダー」。ソフトトップを収納しても春の陽気でちょうどいいドライブになるだろう。
首都高速湾岸線を走り、三浦半島へ。F430のV型8気筒DOHCも絶好調だ。走っていても赤い跳ね馬のエンブレムは注目の的。
「ジュンさん、調子に乗ってスピード出しすぎないでよ」
エリカに諭され僕は慌ててスピードを落とした。F430を運転しているとついついF1気分になってしまう。久しぶりのデートでアドレナリンが出過ぎているのかもしれない。
衣笠ICからは三浦縦貫道路に乗り換え、三崎港を目指す。スイスイ進んだこともあって1時間ほどで三崎港に到着。潮の香りが懐かしい。自然とテンションが上がっていくのがわかった。
「昼食にはまだ時間があるから、先に産直センターに行ってみようよ!」
そう提案したエリカもやはり興奮気味だ。この数ヶ月は自粛・自粛で籠もっていたのだから、ちょっとした遠出のドライブや買い物で童心に返ったようなテンションになるのも無理のない話だろう。
エリカが楽しみにしていたのは、産直センターの「うらりマルシェ」。獲りたての三浦野菜や三崎まぐろを販売している。平成13年からサービスを開始し、リニューアルして「さかな館」と「やさい館」という名前がついていた。
店内に入ると、様々な店が魚介類を販売しており、さらにテンションが上がる。
「お土産にまぐろ買っていこう!今週はまぐろ三昧になりそう」
エリカの様子を見ていると、僕も買って帰りたくなってきた。酒のつまみにもちょうどいい。そう考えるとどれにするか迷うものだ。
「ねえ、あっちの奥にも行ってみようよ」
腕を引っ張られて連れて行かれた先には、ゲームセンターでよく見るUFOキャッチャーがあった。まぐろのUFOキャッチャーとは実に斬新だ。
「どっちが先にゲットできるか勝負しよう!」
相変わらずエリカは勝負好きだ。まあ、これでも昔は得意にしていたのでよもやUFOキャチャーでエリカに負けることはないだろう。
「ジュンさん、もう諦めて、食事に行こうよ。お腹空いちゃった」
「ちょっと待って、あと1回、いや、あと3回やればゲットできる」
エリカは一発でゲットしたので、勝負はあっさり負け。しかしひとつは獲らないと気が済まない。収穫ゼロで東京に帰るわけにはいかないのだ。
「やった! ついに獲ったぞー!!」
「ハア、もう、UFOキャッチャーにどれだけお金かけてるの。ジュンさんってほんと子どもっぽいところあるよね・・・」
1時間、合計1万円を費やし、ようやくまぐろフィギアをひとつゲットできたところで、遅い昼食へ。目的はもちろん三崎港で水揚げされたまぐろだ。
創業80年というまぐろ食堂「七兵衛丸」。店内には86席あり、感染対策もバッチリだし、ソーシャルディスタンスも気にすることなく食事を満喫することができる。
「うわー、美味しそう!! いただきます!! やっぱり海に来て海鮮料理を食べると、新鮮で美味しい!!」
僕もエリカも、「豪華!まぐろ海鮮丼」にした。新鮮なまぐろが、たっぷり敷き詰められている。運転するより数倍疲れたUFOキャッチャーでの精神的疲労感も、みるみる回復していくのがわかった。
「次来たら、 釜揚げしらすまぐろ丼 や三浦どんも食べてみたいなー」
まぐろを堪能できてエリカは最高潮にご機嫌だ。やはり美味しい料理は人を笑顔にする力がある。
食事が終わり外に出るともう日が沈みかけていた。海からの潮風が心地よい。
「そっか、ここにはゲストバースもあるのか」
一時的にビジター船を停泊することができるゲスト用の桟橋のことである。これなら次はNoleggioでクルーザーをシェアして来てみるのもいいかもしれない。それをエリカに伝えると、エリカは笑顔で僕と腕を組んできた。どうやら大賛成ということらしい。
自粛生活で我慢していた分、ここから先はエリカとのデートの数を増やしていこう。さて、次はどこがいいだろうか。
「UFOキャッチャーがないところがいいんじゃない?」
満腹で少し眠そうな目をしながらエリカがそう言った。それは確かに言えるかもしれない。